嫁姑問題「あなたは間違っている」と言われても ~その3~
~崩壊~
その日の夜、私と旦那さんは二階で沐浴させた赤ちゃんに着替えをさせていました。
すると一階からお姑さんの怒鳴り声が聞こえてきたので慌てて階段へ向かいます。
「どうしたんだろう」
そう思い階段をのぞき込むと、鬼の形相のお姑さんと小姑が大きな音を踏み鳴らしながら階段を上ってきています。
「こんな時間に赤ちゃん泣かせて!!!いい加減にしなさい!!」
大きな怒鳴り声を上げながら二人は部屋に乗り込んできました。
夜の21時頃の事です。
怒りでわなわな震えているお姑さんと、沈んだ顔の小姑が床に座ります。
小姑は母親を冷静に止めるために付いてきたような感じでした。
その場で日ごろ私に思っている不満を怒鳴りながらぶつけるお姑さんを、旦那さんも小姑も止めることはできません。
今まで家の中の絶対的な権力者であった姑は、一筋縄ではいかない私が家族に入ってきたことで自分の立場が脅かされる。そういう恐怖が根にあったのです。
「あなたは間違っている!!妹のところのお嫁さんはちゃんと言うことを聞いているのに、そんな風だからダメなのよ!!」
「こんな嫁はいらない!!」
お姑さんは感情的に言い放ちました。
鬼のように感情をぶちまける姿を目の前にして、恐怖で心臓が飛び出しそうでした。
泣き叫ぶ赤ちゃんを抱きかかえながら私の中で何かが崩れました。
「大阪に帰らせてもらいます」
言い合いたくても言い合う気になれませんでした。
ただもう終わりにしよう。
そう決意しました。
~別れ~
完全に私の中でこの二世帯住宅に住み続けるという選択は無くなりました。
旦那さんにも私の気持ちや今後の事を相談しましたが、旦那さんの中では「喧嘩してでもいいから母親と話し合って関係を構築してほしい。買ったばかりの二世帯を離れる選択肢はない」とのことでした。
子供が生まれて一か月を過ぎた日、旦那さんと話し合いをして私は赤ちゃんと二人で大阪に帰ってきたのです。
その後、二世帯に置いてきた荷物を少しづつ送ってもらったり話し合ったりして一年後、離婚となりました。
~嫌な人は人生最大の教師~
離婚した当初は元旦那さんや旦那さんのお母さんに対して強い怒りの感情がありました。
「結婚なんかしなきゃよかった」「二世帯なんか住まなきゃよかった」「あの人が悪い、この人が悪い」
こんな事ばかり考えていました。
そんな中、ある日不思議な夢を見たのです。
千葉にある二世帯住宅の中でお義母さんが私に抱擁し、
「良かったね、いってらっしゃい」と笑顔で送り出してくれた夢でした。
懐かしいものを見たような不思議な感覚になり、その時私は昔に読んだ本の内容を思い出したのです。
愛と調和で保たれた世界に、二つの光輝く魂がいました。
「ねえ、苦しみってなあに?」
この世界は光に溢れ、愛に溢れてる完璧な世界だったので苦しみや怒り不安といったものがわかりませんでした。
「色々な感情を体験してみたいんだ!ねえどうにかしてくれよ」
若い魂はもう一つの魂に言います。
「なら私が手伝ってあげるよ。違う世界では私が君にとって嫌な奴になるから、君は思う存分色々な感情を味わうといい」
「わあ!本当にいいの?でもあなたはこんなにも完璧な存在なのに、自ら嫌な役を買って出てくれるんですか?」
「もちろんさ。君が成長できるなら喜んで手伝うよ。君がここで交わしたことを忘れて別の世界で私に対して怒り恨み憎しみを感じても、私はあなたを愛しているよ」
「はい!私もあなたを愛しています。ありがとう」
~許す~
私の結婚生活の初めのころは、嫌なことでも渋々折れたり周りに合わせたり自分の声を無視して麻痺させていました。
誰のせいでもなく、自分で自分の首を絞めていたのです。
自分の心の声を無視すれば、必ず自分の体にサインが出ます。
それを無視して続けていくのか別の行動をするのかは自分の選択次第です。
どちらかが正しくて間違っている、どちらかが良くて悪だというのはありません。
お義母さんも、元旦那さんも自らの正しさや優しさがあって、それを私にわかって欲しかっただけなのかもしれません。
ただ私の中で一緒に暮らすことは難しいと決断し行動しました。
私は結婚して2年足らずで離婚しています。
他から見ると私の行動や選択は短絡的で忍耐力がなく、覚悟のない結婚だったと見えるでしょう。
その通りだと思います。
しかしこれも私の人生のプロセスであり、大切な一部です。
出会いと別れ。
自分自身の変化と環境の変化。
全て過ぎ去ってゆくものであり、変化していくものです。
その時には全てが最悪だと思えた出来事や人が後になって無くてはならない自分の大切なプロセスだった事に気が付きます。
今すぐに許せなくてもいいんです。
いつか自分を許し、周りを許せるようになったとき、あなたは今よりも高い視点で物事を捉えることが出来るようになっているでしょう。
今、辛い中にある人は自分を信じてください。
今ある状況はいつかは過ぎ去るものであり、それがいつか必ずあなた自身や他の誰かを助けてくれる経験となることを信頼してください。